医療レーザーによる脱毛法には、熱破壊式と蓄熱式が存在します。
一般には、熱破壊式の方が永久脱毛の効果が高いと言われていますが、その真意は何かを徹底調査してみましたので是非参考にして頂ければ幸いです。
以下に、熱破壊式と蓄熱式の違いについてご説明します。
熱破壊式脱毛機と蓄熱式脱毛機の違いは?
熱破壊式と蓄熱式の違いは主に以下の通りです。
それぞれの効果や特徴を比較して、どちらの方式が自分に合っているのかを、確認してみて下さい。
熱破壊式(HR) | 蓄熱式(SHR) | |
---|---|---|
ターゲット | 毛乳頭・毛母細胞 毛根にある毛を作り出す組織を破壊 |
毛包・バジル領域 皮膚から浅いところにある発毛指令を出す組織を破壊 |
レーザーの出力 | 高出力 | 低出力 |
照射方法 | 1発照射 | 連続照射 |
照射後の 毛包周辺 |
急激な温度上昇あり | 急激な温度上昇がない |
照射後の 毛包周辺温度 |
250℃ | 65℃ |
効果 | 永久脱毛◎ | 永久脱毛◎ |
施術中の痛み | 強め ゴムではじかれたような痛み |
かなり弱い◎ じんわり温かさを感じる |
剛毛への効果 | かなり効果がある◎ | 効果はあるが熱破壊式より劣る◯ |
産毛・細毛への効果 | 効果はあるが蓄熱式より劣る | かなり効果がある○ |
色黒・日焼け肌 | 熱傷などのリスクがある 施術を受けられない機種がある |
照射可能 |
肌への優しさ | 蓄熱式脱毛には劣る〇 | かなり肌に優しい◎ |
施術時間 | 蓄熱式に比べ時間がかかる | 広範囲での施術が可能でかなり短い |
ポップアップ 現象(※) |
起きる | 起きない |
抜け方の特徴 | ポロポロっと抜け落ちる | いつの間にか抜け落ちている |
毛が抜ける タイミング |
施術翌日から1~2週間で抜ける | 施術から2~4週間かかる |
色黒肌の 火傷リスク |
高い(脱毛不可の場合もある) | 低い(安全) |
向いている人 | 濃く太い毛を脱毛したい人 脱毛効果を早く実感したい人 短期間で脱毛を終わらせたい人 |
産毛・細毛を脱毛したい人 色黒肌や日焼け肌の人 痛みに敏感な人 |
脱毛の始まり | 1983年頃~ | 2001年頃~ |
毛がポロポロっと抜けるので「効果が出た!!」と実感しやすいのですが、蓄熱式の場合はポップアップ現象が起こらないので、抜けないと感じてしまいやすいです。
ポップアップ現象が起こらない=効果ないではありません。
抜け方が違うだけであって、ポップアップ現象が起こらなくてもキチンと脱毛効果はあります。
すぐに抜けなくても、永久脱毛効果はあるので心配しないでくださいね
蓄熱式は効果ないのではなく効果が出るタイミングが違う
蓄熱式は効果がないのではなく、熱破壊式の脱毛と比べて効果が出るタイミングが遅いだけです。
熱破壊式と比べると、蓄熱式は毛が抜けるまでに時間がかかります。
単純に比較すると、どちがも脱毛効果がかなりあるように見えますよね。
以下では、もう少し、掘り下げて、実際の毛が抜ける仕組みを詳しく説明します。
レーザー脱毛で毛が抜ける詳細な仕組み
毛の生える仕組みとレーザー脱毛の関係
毛髪は、皮膚の外に出ている毛幹と、皮膚の下に隠れている毛根で構成されており、毛根の膨らんだ部分が毛球です。
毛の成長を支える大切な役割の毛球の内部には毛乳頭があり、それを覆っている細胞が毛母細胞です。
毛根の根元には毛球があり、そのくぼんだところにあるのが毛乳頭です。毛乳頭の周りにはたくさんの毛母細胞があり、毛細血管から栄養分や酸素を吸収し、それをエネルギーにして分裂を繰り返し、毛に成長していきます。
ですから、毛の成長に最も大切な組織が毛乳頭と毛母細胞で、毛母細胞が分裂を繰り返すことによって角質化し、硬い毛となって生えていきます。
毛母細胞の細胞分裂が活発化すると毛は順調に成長していきます。
メラノサイトからメラニン色素を受け取って毛を黒くする働きを持つ毛母細胞は、毛乳頭から産生されるFGF-7という育毛促進因子によって活発化します。
このFGF-7が減少して毛母細胞の分裂活動が弱くなったり活動を休止すると、髪の毛が成長しにくくなり薄毛になってしまいます。
レーザー脱毛とは、これらの毛が生える仕組みを破壊することにより、生える速度を遅くしたり、生えてこなくすることです。
蓄熱式の脱毛とは?
日本では、蓄熱式の脱毛は2017年にサロンから発表されて、実際に世の中に広まり出しました。
しかしながら、世界で見ると2001年から採用されている脱毛方式です。
蓄熱式は、レーザーの熱を蓄熱し、熱により毛根のバルジ領域を破壊する方式です。
バルジ領域にある毛包幹細胞をレーザーの照射熱で破壊することにより毛を抜けやすくするというものです。
バルジ領域は、真皮の部分に存在するため、低出力浅い部分を刺激して脱毛することが可能なので、熱破壊式と比較して痛みが軽減されます。
熱破壊式とは?
熱破壊式とは、メラニンに反応して熱を生じる仕組みで毛根を破壊することで脱毛します。
熱破壊式は、蓄熱式と比較すると高出力でスポットを狙うため、蓄熱式より危険度と痛みが増します。
イメージするなら、熱破壊式は直接の火による火傷に対して、蓄熱式はこたつでの低温火傷といったイメージです。
メラニンに反応するため、メラニン色素が無い白髪には対応していませんし、産毛や細毛、金髪等色が薄い毛に対しても余り効果がありません。
更に、日焼け肌等では、皮膚表面がメラニン色素を多く含んでいるため、毛母細胞よりも早く表皮が反応してしまう恐れがあります。
このため、肌表面にほくろ等が存在する場合には施術できない場合があります。無理に実施してしまうと、熱傷等を引き起こす危険性があります。
脱毛方式によるメリットとデメリット
熱破壊式と蓄熱式の違いを以下の表にまとめましたので参考にして下さい。
脱毛方法 | 熱破壊式 | 蓄熱式 |
---|---|---|
レーザー出力 | 高出力 | 低出力 |
特徴 | 毛根の発毛組織を破壊する | 毛根のバルジ領域を破壊する |
効果が現れる までの期間 |
1~2週間 | 2~3週間 |
メリット | ・脱毛効果を実感しやすい ・永久脱毛に時間がかからない ・濃く太い毛や頑固な毛に高い効果を発揮 |
・痛みを感じにくい ・産毛の脱毛にも対応できる |
デメリット | ・メラニン色素は薄い産毛や細毛の脱毛が苦手 ・色黒や日焼け肌には施術できない場合がある ・高出力で照射するため痛みを感じやすい ・ワンショットずつ照射する熱破壊式は蓄熱式に比べ施術時間が長い |
・脱毛効果が出るまで時間がかかる ・すぐに効果を実感しにくい |
まとめ
以上で、熱破壊式と蓄熱式の差についてご紹介させて頂きましたが、実際に施術する際には、自分の意思をしっかり持ち、医師とのカウンセリング時に肌質や毛質をしっかり見て頂き、もし、不安等がある場合には『テスト照射』を実施してもらい、納得した上で施術を受ける様にして下さい。
変に、素人考えで、『熱破壊式の方が強力だから早く脱毛できる』なんて思って、医師のアドバイスを無視して施術してもらうことが無い様に気をつけて下さいね。